難聴の治療法は、耳のどこに障害が起きているかによって大きく変わります。
手術が適用でき、もっとも治療しやすいのは「伝音性難聴」で、内耳に問題のある「感音性難聴」は治療が難しいのが一般的です。
どのような難聴でも早期の受診と治療開始が進行を抑えるのに有効ですので、気になる症状のある時は早めに耳鼻科にかかりましょう。
■伝音性難聴の治療
伝音性難聴は、外耳道や鼓膜など、耳の中でも外耳~中耳に発生する疾患で、奥の聴神経には関わりがないことから、完治できる可能性の高い難聴です。
中耳炎から起こる場合も多くみられます。
中耳の障害を外科的に取り除く鼓室形成術や、滲出性の中耳炎の場合は鼓膜切開などで治癒が期待できます。
手術ができない場合、補聴器によって聞こえを良くできることがほとんどです。
ただし伝音性難聴の中でも、特に症状の強い場合は補聴器も無効のケースがあります。
その場合は高感度の補聴器である「人口中耳」を、中耳に埋め込む手術が検討されます。
■感音性難聴の治療
感音性難聴は、音を脳に伝えるための聴神経や、脳そのものに障害があることで起こります。
そのため治療が難しいのですが、ノーベル賞受賞で話題となった「iPS細胞」による遺伝子治療が将来的に役立つのではないかと期待されているところです。
現在の治療法としては、内耳の血流を良くするための血管拡張剤や、代謝促進剤、ビタミン製剤などが用いられています。
また症状に応じてステロイド剤が処方されることもあります。
■突発性難聴の治療
感音性難聴の1つですので、感音性の治療薬のほか、ステロイド剤の投与と、血液量を安定させるために「血漿増量剤」の点滴を組み合わせるのが一般的です。
1週間から10日間ほどその治療で様子を見て、聴力が回復しない場合は難治性と判断し、高圧酸素療法、もしくは星状神経節ブロックといった特殊な治療法が検討されます。
■先天性難聴の治療
生まれつきの難聴の場合、完治するための方法は確立できていません。
わずかでも聞こえている場合は、生後半年以降から乳幼児用の補聴器を使って訓練をおこなうのが一般的です。
まったく聞こえない場合も、視覚や触角を通して言語を習得させることで、将来言葉を発することは可能です。
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