喘息の治療は、薬を上手に使いながら症状をコントロールすることが中心です。
発作時はもちろん、発作のない時でも日常的に予防薬を使うことによって発作の頻度を減らしていきます。
また喘息の原因物質が特定されている場合は、それらを除去することも大切です。
■薬による喘息治療
発作時は、気管支を拡張させるβ2刺激薬をネブライザーで吸入する治療が、従来から現在でも広くおこなわれています。
その他、炎症を抑えるステロイド薬の内服や点滴、必要に応じて酸素の投与などがおこなわれます。
特に短時間で作用するβ2刺激薬は、外出時に携帯すると安心でしょう。
発作のない安定期では、吸入ステロイド薬の使用が一般的です。
1週間以上継続しないと効果が出にくいため、つねに使用することが発作の予防につながります。
吸入ステロイド薬で十分な改善がみられない場合は、長時間作用性のβ2刺激薬(サルメテロール)を吸入することもあります。
ただし単独で使用すると症状が悪化することがあるため、ステロイド薬との併用が基本です。
吸入薬が苦手な患者さんには、テオフィリンやロイコトリエン拮抗薬などの内服薬や、β2遮断薬の貼り薬(ホクナリンテープ)などが処方されることもあります。
また喘息を患っている人の中には、発作に慣れてしまい、自覚症状が薄くなる人も多くみられます。
そのような場合は、ピークフローメーターという、自宅で使える呼吸機能の測定機器がありますので、活用することで治療の目安になるでしょう。
■原因療法
喘息のアレルゲンとなるものが分かっていれば、生活の中から取り除くことも当然重要です。
アレルゲンは、大きく「吸入性アレルゲン」と「食物性アレルゲン」に分かれますが、喘息の場合は吸入性のものがほとんどになります。
中でも、小児喘息の8割を占めるといわれるのがダニです。
チリダニ、コナダニ、ツメダニなどがいますので、居室や寝室の対策が必要になります。
その他、ハウスダストやカビ、動物の毛や花粉、タバコの煙、化学物質などなど、人によってさまざまなアレルゲンが存在します。
しかしこれらのアレルゲンを完全に除去するのは難しいことから、逆に抵抗力をつけて体を慣らそうとする「減感作療法」というものもあります。
アレルゲンを3年ほど注射して免疫をつけていこうとするもので、一定の効果がみられたのですが、最近ではあまり積極的におこなわれていないようです。