喘息というと小児ぜんそくのイメージが強いものですが、大人の患者さんも多くいます。
その数は年々増え、過去30年間で約3倍にまで増加したともいわれるほどです。
大人の喘息は子どもより治りにくい傾向がありますので、しっかりと治療を続けて症状をコントロールしましょう。
■大人の喘息の特徴
大人で喘息にかかる人には2パターンあります。
子どものころ小児ぜんそくを患っていた人が、成人してから再発するケースと、大人になって初めてかかるケースです。
割合としては後者のほうが多いため、子どものころ喘息じゃなかったからといって決して安心はできません。
大人の喘息は社会に出てから発症することが多いですので、子どもと比べると休息や治療にかける時間が十分とれずに重症化しやすいといわれます。
さらに加齢とともに呼吸器の機能が低下すると、より治りにくくなってしまいます。
しかし早期に治療を開始すれば効果は高く、薬で症状をコントロールしながら徐々に良くなっていく人もたくさんいます。
他に大人の喘息の特徴としては、アレルギーとは無関係の「非アトピー喘息」が子どもより多いことです。
特定のアレルゲンによるものではなく、風邪や精神的ストレス、タバコの煙などがきっかけで発症するケースが多くみられます。
特に風邪から始まる場合、他の症状は治ったのに咳だけが続く「咳ぜんそく」になってしまう人が多いため、おかしいなと思ったらかならず受診しましょう。
■治療法
大人の喘息も、子どもと同じく薬物治療になります。
発作時のみならず、症状が安定している時も継続することが大切です。
もっとも中心となる薬は、吸入ステロイド薬です。
もともと命を落とす人も多かった喘息ですが、吸入ステロイド薬の普及によりその数は確実に減っています。
普段から吸入ステロイド薬で、気道の炎症を抑えつつ、それでも発作が起こった時には、β2刺激薬などの気管支を拡張する薬を用います。
ステロイドといっても、喘息の場合は気道に直接噴霧する薬になりますので、全身副作用の心配はほとんどありません。
その他、大人の場合はアルコールが喘息を悪化させることが分かっているためなるべく控えることと、もちろん禁煙も必須といえるでしょう。
過度のストレスも喘息の引き金になりますので、上手に発散したいものです。