喘息治療の一環として、漢方薬をとり入れる患者さんもいます。

漢方は「体質改善」が最大の目的ですので、
これだけで喘息を完治させることは難しいのですが、
体力を充実させたり、肺の状態を良くしたりする作用は
ある程度期待できるかもしれません。

活用する際はかならず医師に相談の上、
飲みあわせに問題がないかどうかを確認しましょう。


■喘息に処方される漢方薬の例

漢方薬では、同じ症状であっても患者さん1人ひとりの体質に合わせて
処方を変えるのが特徴です。

体質の分類を「証」と呼び、それぞれに最適な薬を調合します。

1.実証タイプ~体力があり異常が丈夫な人
「麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)」を中心とし、必要に応じて
「半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)」などを組み合わせます。

また肥満ぎみの患者さんには、肥満と喘息どちらの体質改善もかねて
「防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)」や「大柴胡湯(だいさいことう)」
などの漢方薬も用いられます。

2.中間証タイプ~体力が普通程度の人
「柴朴湯(さいぼくとう)」を中心とした処方が多くみられます。

水っぽい痰の多い人には「小青龍湯(しょうせいりゅうとう)」を、
痰が少ない人には「滋陰降火湯(じいんこうかとう)」を、
痰の切れが悪い人には「清肺湯(せいはいとう)」がよく使われます。

3.虚証タイプ~体力が虚弱な人、高齢者など
空咳が出る人には、高齢者でも安心して使える
「麦門冬湯(ばくもんどうとう)」が多く処方されます。

また冷え症で血流が悪い人には「麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)」、
胃腸が弱い人には「参蘇飲(じんそいん)」などが最適とされています。

4.小児の場合
子どもの喘息には、漢方の中でも比較的飲みやすいものが選ばれます。

「神秘湯(しんぴとう)」や「五虎湯(ごことう)」、体質的に虚弱な場合は
「小建中湯(しょうけんちゅうとう)」などが処方されます。


■発作時はかならず専用の薬を

漢方は体質改善や予防の補助的に使う分には問題ありませんが、
いざ発作が起きた時には、即効性の高い西洋薬を使用しましょう。

気管支拡張薬のβ2刺激薬や、抗炎症作用のあるテオフィリン系薬、
重症化した時には経口タイプのステロイド薬を用います。

もちろん発作のない間も、吸入ステロイド薬に勝る長期管理薬は
今のところないとされています。

東洋医学と西洋医学のメリットを、それぞれうまく使い分けましょう。